林業での安全衛生管理に関するお役立ちまとめ
目次
・林業労働災害を減らすために、林業経営体でできること
・安全の責任者
1 自分の組織の管理は大丈夫?「林業安全管理チェックシート」
2 計画的に安全管理を実施するために「年間安全衛生計画」
3 現場技術力の源であり組織ルール「作業手順書(標準書)」
4 現場に入る前に「作業計画」
5 日々の現場機械点検など
6 安全パトロール
7 安全衛生についての定例会議・ミーティング
8 林業機械の資格と検査点検・安全装備の種類
9 林業労働災害情報の共有
(最後に)お悩み、ご意見、アイデア教えてください
林業労働災害を減らすために、林業経営体でできること
あらゆる安全対策の目的は、労働者が日々安全に、元気に、快適に働くことができる環境を整えることにあります。これが「労働安全衛生法」という法律が制定された主な理由です。
安全が確保されていれば、労働者のモチベーションや作業効率の向上、ひいては企業の利益確保につながるため、安全は事業者にとって経営の基盤となる重要な要素です。
しかしながら、林業における労働災害の発生率は全産業の中でも高く、経営者や安全衛生管理の責任者にとって悩みの種となっています。
そこで、県内の林業経営体の安全衛生管理に関わる皆様から実務状況や運営に関するご意見を伺い、労働安全・衛生コンサルタントの指導・助言のもと、安全管理に役立つ情報をまとめています。
安全の責任者
労働安全衛生法には、「事業者」と「労働者」という言葉がよく登場します。「事業者」とは、個人事業主の場合は経営者本人を指し、法人の場合は林業経営体そのものを意味します。
「事業者」と「労働者」にはそれぞれ義務があり、安全環境の整備やルール作りは事業者が中心となって行います。そこで定められたルールを労働者が正しく守ることで、安全な職場環境が実現します。
こうした、事業者が整備すべき計画やルール、日々の安全管理の帳簿類を林業向けに、次のとおり作成しましたので、ぜひご活用ください。
1 自分の組織の管理は大丈夫?「林業安全管理チェックシート」
さまざまな関係法令がある中で、「自社に足りていないものは何か」「何からはじめたらよいか」を自己点検できるように、チェックシートにまとめました。
林業安全衛生管理チェックシート (Excelファイル)(35KB)
2 計画的に安全管理を実施するために「年間安全衛生計画」
自社の「安全衛生方針」に基づいて目標を達成するための重点施策を、「いつまでに・どうするか」の視点でスケジュールを組むのが「年間安全衛生計画」です。
作成方法や内容は自由ですが、管理者に役割が集中したり、逆に現場任せになってしまったりすることを防ぐために、「いつ、誰が、何のために行うのか」を明確にします。そして、スケジュール通りに進んでいるかを月ごとに確認します。
「安全衛生方針」とは、事業場における安全衛生水準の向上を図るための安全衛生に関する基本的な考え方を示すもので、次の事項を含みます。
1 労働災害の防止を図ること。
2 労働者の協力の下に安全衛生活動を実施すること。
3 法又はこれに基づく命令、事業場におk手定めた安全衛生に関する規定等を遵守すること。
4 労働安全衛生マネジメントシステムに基づいて行う措置を適切に実施すること。
年間安全衛生計画(例) (Excelファイル)(109KB)
3 現場技術力の源であり組織ルール「作業手順書(標準書)」
林業の現場では、作業者同士は安全のため一定の距離を保って作業しているため、個々が効率よく安全に作業を行っているかを直接見守ることは困難です。
そのため、自社の仕事のルールや技術力をあらかじめ見える化し、ルール順守徹底や指導教育、技術の改善に役立てるものが「作業手順書(標準書)」です。
現場ごとに作成するものを「作業手順書」、標準的なパターンごとに作成するものを「作業標準書」と言います。
これらは自社のルールですので、現場の責任者と安全管理の責任者が中心となって作成し、作業者全員に周知していくことが効果的です。作成例を次に示します。
(1)作り方
作業手順書(標準書)の骨組みを作成します。
現場作業の全体を把握している現場責任者(作業班長またはリーダー)が中心となってが作成します。
現場管理の担当者が作成する場合は、現場責任者(作業班長またはリーダー)に協力を求め、作業工程や方法などを聞き取りながら作成します。
この手順で問題がないか、リスクアセスメントを行い、危険性を検討します。
作業時の注意点を検討する際に効果的なのがリスクアセスメントです。
危険を洗い出すのは作業を行っている時点ではなく、作業手順やルール、段取りを検討する段階で行います。
これにより、最も安全で質の良い作業が実施できるように計画します。
次に示すのは、リスクアセスメントを取入れた標準的な作業手順の例です。
作業手順書(標準書)の例
(1)作業手順書(作成用シート) (Excelファイル)(16KB)
(2)伐木 (Excelファイル)(19KB)
(3)下刈り (Excelファイル)(23KB)
(4)かかり木処理 (Excelファイル)(271KB)
(5)地拵え (Excelファイル)(43KB)
(2)危険の洗い出し方の例
- 経営体で起きた過去のヒヤリハット事例から危険を洗い出します。
- 現場メンバー全員で安全研修を兼ね、「こんな危ない目にあった」「ミスをしてしまった」といった意見を出し合います。
「作業手順書(標準書)」の形式は自由ですが、自社ブランドの源として捉え、実際に使いながら修正・改善を続けることが大切です。これにより、作業の「ムリ」「ムダ」「ムラ」が減り、生産性の向上などのメリットを得られます。
4 現場に入る前に「作業計画」
厚生労働省から発出された「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」(令和2年1月31日改正)には、チェーンソー作業時に作成する作業計画の様式例が示されています。
車両系建設機械や車両系木材伐出機械を用いて作業を行う場合も、作業計画を定め、その作業計画に基づいて作業を行うことが法的に定められています。
実際には、森林作業道等の作設では建設機械、伐出では林業機械やチェーンソーなど、さまざまな機械を組み合わせて作業が実施されます。
そこで、県内の主な作業パターンに合わせて、内容を網羅できる作業計画の様式例を作成しました。
≪作業計画≫
(1)保育間伐、小規模伐採 (Excelファイル)(162KB)(チェンソー伐倒のみの場合)
(2)森林作業道単独 (Excelファイル)(205KB)(先行して森林作業道開設だけを行い、伐採事業まで期間が開く場合)
(3)搬出間伐・皆伐・森林作業道 (Excelファイル)(227KB)(森林作業道開設と搬出作業を連続して行う場合)
(4)搬出間伐・皆伐 (Excelファイル)(228KB)(すでに開設された森林作業道を用い、あらたな作設がない場合)
(5)下刈り・地拵え (Excelファイル)(737KB)(刈払い機を用いる場合)
なお、作業計画書の様式中に概略図の作成が難しい場合は、既存の図面に「緊急車両待ち合わせ場所」や「看板設置場所」、「搬出作業場所(土場)」などを書き込み、別紙として添付しても問題ありません。
林業現場の多くはアクセスが悪いため、万が一の場合でも緊急搬送を迅速に行えるよう、この作業計画書を作成した上で、作業に着手する前に最寄りの消防署へ届出をすることをお勧めします。
5 日々の現場機械点検など
現場で機械を使用する際には、機械の点検を行わなければなりません。必要な点検項目に漏れがないように、チェックシートを使用した点検が必要とされています。
「どのようなチェックシートが適しているかわからない」「現場で書く文字を減らしたい」といったご要望に応え、できるだけ〇やチェック、番号などで記入できる様式を作成しました。各経営体において、使いやすいよう、工夫してご利用ください。
(1)重機点検日報、チェーンソー日報、刈払い機日報 (Excelファイル)(38KB)
(2)車両系建設機械月例点検簿 (Excelファイル)(357KB)
(3)安全衛生日報 (Excelファイル)(32KB)
こうした様式は、使いやすくアレンジすることで事務の手間を減らすことが可能です。例えば、スマホでの入力や写真の送信を活用して、毎日の手入力を減らすことが期待できます。
6 安全パトロール
経営者(総括安全衛生管理者)や管理者(安全・衛生管理者等)が現場を訪問する際には、安全パトロールを併せて行うことが、安全管理のマンネリ化防止に効果的です。
管理者等が一人で現場全体を見て回るのは困難なため、複数の職員(作業主任者、安全衛生推進者、安全衛生委員、事業担当者、森林施業プランナーなど)がチェックリストを活用して実施すると良いでしょう。
そうすることで、点検結果や現場での指示内容を共有できるとともに、記録が残るため効率的です。
林災防作成版(http://www.rinsaibou.or.jp/cont02/02_frm.html)
簡易版パトロール様式 (Excelファイル)(12KB)
7 安全衛生についての定例会議・ミーティング
労働安全衛生法で定められている安全衛生委員会の開催要件(50人以上の労働者を使用する事業場)には該当しない経営体がほとんどですが、安全衛生に関して、労働者の意見を聞くための機会を設ける必要があります(労働安全衛生規則第23条の2)。
現場作業班が2つ以上ある場合や複数の部門がある場合などは、定例会議を開催し、現場から事業者(管理側)への設備や装備の要望、ヒヤリハット、巡回パトロールで判明した改善点などの情報を共有しましょう。これにより、大きく労働災害発生率を減少させた実例もあります。
すでに行っている月例等の班長会議やミーティングに安全衛生委員会の審議事項等を加えるなど、負担にならない範囲で実施することをお勧めします。
また、こうした会議の議題や資料等については、県から情報提供を行うことも可能なので、希望のある場合は、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。
8 林業機械の資格と検査点検・安全装備の種類
現場で使用されている様々な重機や機械について、法令に基づく資格、検査点検、安全装備の種類を一覧にまとめました。
林業機械の資格と点検の種類 (Excelファイル)(22KB)
9 林業労働災害情報の共有
本県では、林業労働災害が年間30件以上発生しているため、安全への一層の取り組み強化が必要です。
そのため、県では「広島県林業労働災害情報共有マニュアル」を作成し、休業4日以上の林業労働災害の情報を一元的に収集し、効果的に安全対策を推進することとしています。
ついては、林業経営体の皆様におかれましては、休業4日以上の林業労働災害が発生した際、各種関係団体への報告を除き、下記連絡先までご連絡くださいますようお願いいたします。
広島県林業労働災害情報共有マニュアル (PDFファイル)(485KB)
死亡災害が発生した場合の様式 (Excelファイル)(26KB)
お悩み、ご意見、アイデア教えてください
安全衛生管理は、工夫次第で効果を大きく、手間を少なく、実行しやすくすることが可能です。「ここが難しい」「この様式が使いにくい」「ここは電子化したい」などのお悩みやご意見、ご相談、アイデアがありましたら、お気軽にご連絡ください。
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